インクルージョン(包括・包含)について掘り下げよう

おつかれさまです!

私たちをとりまき、生活の中に浸透してきた様々な「用語」。なんとなく言葉を知ってる気がする。 でも具体的に理解してるか、説明ができるかと言われると…?

ダイバーシティと合わせて、よく聞くようになった「インクルージョン」。日本語で「包括・包含・包摂」と聞いてもよくわからない…今回はインクルージョンにまつわるなんとなくを掘り下げていきましょう。どうぞお付き合いくださいませ。

インクルージョン(包括・包含)とは

まず、単語の意味を見てみましょう。インクルージョンを日本語に直訳すると「包括(ほうかつ)・包含(ほうがん)・包摂(ほうせつ)」とあります。 日本語ではそれぞれ分かれていることからもわかるように、一言でぴったりとくる日本語はないようです。 英語ではインクルージョンの一言にすべて含まれています。

https://www.weblio.jp/content/インクルージョン

次は、日本語の意味を考えてみましょう。 包括はすべて一つにまとめること、 包含はある物事がその中に別のものをつつみこみ、含んでいること、 包摂は包み込むことという意味のほか、あることが、より一般的なものに包み込まれることとあります。簡単に言うと、「猫は動物に含まれる」「バナナは食べ物である」みたいなことです。

https://www.weblio.jp/content/包括
https://www.weblio.jp/content/包含
https://www.weblio.jp/content/包摂

ちょっとややこしいですよね。簡単に言うと、「ひとつにまとめて、つつみこむこと」です。

Photo by Adobe Firefly

はたらく上でのインクルージョン

もともと、インクルージョン(ソーシャル・インクルージョン)という言葉は、なんらかの理由で社会から排除されている状態、社会的排除という意味のソーシャル・エクスクルージョンという言葉の対義語として生まれました。 排除の逆、つまり排除せず、むしろひとまとめとして認識すること。その上で、社会としてすべてを包み込むことです。

自分たちとはちがうことがあっても、排除せず受け入れる。その上で、個人個人がそれぞれの能力を十分に発揮する環境を整えること。 はたらく上では、このように、色々な個性や特徴がひとまとめとなって、一緒にはたらくこと。という意味合いで使われる事が多いです。

インクルージョンにはどういうメリットがあるのか

インクルージョンという概念に注目がいくようになった背景には、ダイバーシティと同様に、労働力人口の減少という理由があげられます。

安心してはたらけて、生産性が向上する

自分の居場所がある。この場所で自分は受け入れられていると考えられる。 これを心理的安全性といいます。 心理的安全性が生まれると、自分が意見を言ってもいい、否定されることはないと考えることができます。 自分が意見を言ってもいいとみんなが思うことで、活発な意見交換ができ、よいアイディアが生まれることがあります。

よいアイディアが生まれるためには、全員が自分の居場所があると感じられることが土台にあるのですね。

一体感とは?どう考えればいいの?

一体感とはどういうことでしょうか。とりあえず全員が同じところにいることでしょうか。 はたらく上でのインクルージョンはどういうことなのか?もう少し深掘りしてみましょう。

まずはインクルージョンの逆、エクスクルージョンを考えてみましょう。 排除。違うものを許さず、同じ立場だけで構成された組織は、どうなるでしょうか? 同じ意見ばかりなので対立は生まれにくいです。しかし、対立が生まれないと、いろいろな可能性を考慮することが難しくなります。いろいろな視点を持つことは、立体的にものごとを捉えられることと似ています。 上から、下から、斜めから…いろいろな視点をもつためには、いろいろな立場が必要です。

でも、いろいろな立場がひとつのところにいるのは、とても大変です。 当然自分と違う意見のひとも多くいます。無意識的な区別(アンコンシャス・バイアス)、そこから生まれる小さな差別(マイクロ・アグレッション)などもひそんでいます。

こういったものはそれぞれ壁のように考えてみます。 ひとつの場所に、いくつもの壁があるときには、ただただ窮屈になります。 自分も相手も、お互いが壁に押しつぶされるかもしれません。活発な意見交換ではなく、衝突もおきてしまうかもしれません。壁があると、相手に声も届きません。

壁を取り払い、違いにかかわらずすべてのはたらく人が平等に扱われること。それは周りの人にとっても、そして自分にとってもはたらきやすく、のびのびと活躍できる環境になるということです。

簡単ではないことを知ること

壁を取り払うとひとことでいっても、簡単ではありませんよね。 まずは自分たちの周りにどんな壁があるのか。自分にはみえない壁だけれど、他の人には見えている壁があるかもしれないという多面的な視点をもつこと。上下の関係だけでなく、対等な関係を築く手立てなどについて、考えてみるのもよいかもしれません。

もっている壁の形や問題に対する解決は組織ごとに違いますから、ひとつ「これ!」といった正解はありません。 正解が見えないからこそ、まずはいろいろな意見がおそれることなく交換できること、その環境づくりが大事になってきます。

ダイバーシティとインクルージョン

いろいろな立場、いろいろな意見というとダイバーシティ(多様性)が思い起こされます。 ダイバーシティ&インクルージョンというように、この2つはセットで取り扱われることが多く、切っても切れない関係です。 多様性(さまざまなこと)&包括(ひとまとめにすること)、この2つがそろってはじめて、色々な人にとってのはたらきやすいとはなにか?と考える下地ができるといえるでしょう。

まとめ

今回は、インクルージョンのなんとなくを掘り下げてみました。 「特徴や個性で壁を作るのではなく、すべてをひとかたまりとしてつつみこむ」ことでした。 「自分たちにどのような壁があるのか、それを小さくしていくのはどのような効果があるのか」と考えていきたいです。すべての人がはたらきやすい環境について、これからも掘り下げていきますので、どうぞお付き合いください。

それではまた、次回!